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海鳴り
第5章 うねり
「まだオープンには早いと思いますけど」
「えぇ、一度帰ってから出直します」
春子が軽く頷いた。
「私はちょっとお届けものがあるのでこれで…」
春子は手に持った包みを律子に示しながら会釈をした。
「あ、引き止めてごめんなさい」
「いいんですよ、どうせカズさんとこへのお裾分けですから、…では失礼します」
「あ、はい、失礼します」
春子の背中を見送りながら、飲みに行くのは8時過ぎにしようと律子は思った。
昼間の暑さはなくなり、夕暮れと共に海風がひんやりと頬を撫でる。
この町は秋の訪れが早い…
紅から闇に変わろうとする空に一番星が光っていた。
律子は足早にスーパーの前を通り過ぎ、『アザミ』のある路地を少し覗いてから自宅へ向かった。
「バイバーイ、明日ねー」
「うん、また明日学校で遊ぼうねー」
子供達が手を振り合い自宅へと帰って行くのを見送り、──飲み過ぎないようにしよう、明日は学校なんだから──と、忘れていた自分の立場を思い出した。
「えぇ、一度帰ってから出直します」
春子が軽く頷いた。
「私はちょっとお届けものがあるのでこれで…」
春子は手に持った包みを律子に示しながら会釈をした。
「あ、引き止めてごめんなさい」
「いいんですよ、どうせカズさんとこへのお裾分けですから、…では失礼します」
「あ、はい、失礼します」
春子の背中を見送りながら、飲みに行くのは8時過ぎにしようと律子は思った。
昼間の暑さはなくなり、夕暮れと共に海風がひんやりと頬を撫でる。
この町は秋の訪れが早い…
紅から闇に変わろうとする空に一番星が光っていた。
律子は足早にスーパーの前を通り過ぎ、『アザミ』のある路地を少し覗いてから自宅へ向かった。
「バイバーイ、明日ねー」
「うん、また明日学校で遊ぼうねー」
子供達が手を振り合い自宅へと帰って行くのを見送り、──飲み過ぎないようにしよう、明日は学校なんだから──と、忘れていた自分の立場を思い出した。