この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
海鳴り
第5章 うねり
亜紀の声に直也が驚いて振り返った。


「親方…、えっ、なんで?」


律子は前を向いたまま固まり、手にしたグラスだけが小刻みに震えだした。

直也の言葉には耳をかさず、相沢は律子がびしょ濡れにした筈の黒いシャツ姿で、店内を探るようにぐるっと見渡した。


「………」

「直也、お前は帰れ、明日は船を出すぞ」


低い声が有無をも言わさぬ響きで律子の耳にも届く。


「わかってます、でも俺はいつも…、それより親方、どうしてまだ起きてるんですか?」

「うるせぇ、帰ってさっさと寝ろっ」

「直也…」


亜紀が直也に目配せして小さく頷いた。


「はい、帰って寝ます、…親方、なんかあったんすか?」

「直也」


亜紀が軽く直也を睨んだ。


「はい…」


腕組みをして扉の前に立っている相沢に軽く会釈をして、「親方、おやすみなさい」と言い残し直也は店を出て行った。


「亜紀さん、俺ビール」

「はい」


亜紀は微笑みビンビールとグラスを入口近くのカウンターに置いた。

手酌だと決めているのか相沢が自らグラスに注ぐ姿をよそに、亜紀は箸やお通しを並べる。


「………」


律子は相沢を見る事が出来ずにいた。

躰は動かせないのに、激しい胸の鼓動はピアノの音をかき消していた。

いちばん会いたくない人物に出会した。




/221ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ