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海鳴り
第5章 うねり
「で、今日は女をナンパしに来たのか、ツケはきかねえぞ」
「い、いえ、久しぶりにダチに会いに…、いえ、なんでもありません。お邪魔しました、失礼します」
その男は連れの二人を押し出すようにしながら一緒にドアの外に出ていった。
店内にほっとした空気が流れた。
「カズさんのせいで売上げが減っちゃったわ」
亜紀が笑いながら言った。
「あんなヤツ客じゃねえ、岸本に金借りたままいなくなったんだ、よくここに来られたな…」
「あぁ、そんな事あったわね。……よかった、もうここへは二度と来ないわ…ありがとう。
はい、これは私から」
亜紀は相沢にビールを一本追加しようとした。
「いや、いらねぇ…、明日早いんだ」
「あ、そうだった…」
相沢は頷き律子の隣でグラスに注いだビールを飲み干した。
「あんたがここにいると俺が眠れねえ」
「………」
二人は前を向いたまま座っていた。
律子は落ち着きを取り戻した店内で一人、まだ小刻みに躰が震えていた。
「か、帰ります」
律子はよろけながら立ち上がった。
「亜紀さん、俺にツケといて」
「…はい」
相沢も席を立った。
「い、いえ、久しぶりにダチに会いに…、いえ、なんでもありません。お邪魔しました、失礼します」
その男は連れの二人を押し出すようにしながら一緒にドアの外に出ていった。
店内にほっとした空気が流れた。
「カズさんのせいで売上げが減っちゃったわ」
亜紀が笑いながら言った。
「あんなヤツ客じゃねえ、岸本に金借りたままいなくなったんだ、よくここに来られたな…」
「あぁ、そんな事あったわね。……よかった、もうここへは二度と来ないわ…ありがとう。
はい、これは私から」
亜紀は相沢にビールを一本追加しようとした。
「いや、いらねぇ…、明日早いんだ」
「あ、そうだった…」
相沢は頷き律子の隣でグラスに注いだビールを飲み干した。
「あんたがここにいると俺が眠れねえ」
「………」
二人は前を向いたまま座っていた。
律子は落ち着きを取り戻した店内で一人、まだ小刻みに躰が震えていた。
「か、帰ります」
律子はよろけながら立ち上がった。
「亜紀さん、俺にツケといて」
「…はい」
相沢も席を立った。