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海鳴り
第5章 うねり
「着いたぞ」


律子の家の前だった。

夜空のキャンバスから現実に引き戻される。


「あ、あの、ありがとうございました…あの、助かりました、それに、明日は早いのに送って頂いて…」

「そんな事はいいから早く家に入れ」

「はい…」


相沢の声に怖じ気付いて律子は鍵を開けた。

律子がドアを開こうとした時、相沢が背後から両手でドアを押さえつけた。


「っ…」

「………」

「な、なんですか」


律子は相沢の両手に挟まれていた。


「こっちを向いてくれ」


「………」


律子は首を振った。


「頼む…」


相沢の声が律子を引き寄せようとする。


「嫌です、帰ってください」

「俺は…」

「相沢さんっ」


聞きたくない
何も…


「あんたに惚れてる」

「っ…」

「惚れてる…」

「………」


耳元で響く声に、律子は息ができなかった。

頭の中は静まり返り、躰は脈を打って息苦しい。


「海に出て死んじまったヤツらを知ってる……、俺は…心残りを持ったまま逝きたくはねえ……」

「………」

「嫌われてても構わねえ」

「…っ…」

「それだけだ」


相沢は崩れ落ちそうな律子に触れる事もなく、冷たい夜の中を足早に去って行った。




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