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海鳴り
第5章 うねり
─────
律子は眠れない夜を過ごしていた。
気を紛らわせる為に『アザミ』に行った筈が、相沢のせいでかえって辛くなった。
辛くない
つらいんじゃない
大きなうねりに呑み込まれそうで怖い
抜け出せなくなりそうで怖い……
ベッドで丸くなって枕を抱きしめ、律子は耳元で繰り返される相沢の声に震えた。
──あんたに惚れてる
何度も寝返りを打ちながら重苦しい胸の痛みと格闘しようやく眠気がやって来た頃、外はすでに明るくなりとうとう朝を迎えてしまった。
─────
ピンポーン…
子供達だ
「はーい」
いつもの朝が始まる。
このドアを開ければ、「律子先生」になる
「おはよう、みんな」
「おはよう律子先生っ」
「おはようございまーす」
明るい声が律子を引っ張る。
「さあ、いこっか」
「先生、今日は驚かさないよ」
翼が笑う。
「あら先生は、昨日も驚いてませんよ」
「そーだった、あはは…」
「そうだよ先生がびっくりさせたんだよ。ね、アハハ」
「あはは…そうそう」
他愛ない賑やかな会話
屈託の無い笑顔
私の教え子達
律子は眠れない夜を過ごしていた。
気を紛らわせる為に『アザミ』に行った筈が、相沢のせいでかえって辛くなった。
辛くない
つらいんじゃない
大きなうねりに呑み込まれそうで怖い
抜け出せなくなりそうで怖い……
ベッドで丸くなって枕を抱きしめ、律子は耳元で繰り返される相沢の声に震えた。
──あんたに惚れてる
何度も寝返りを打ちながら重苦しい胸の痛みと格闘しようやく眠気がやって来た頃、外はすでに明るくなりとうとう朝を迎えてしまった。
─────
ピンポーン…
子供達だ
「はーい」
いつもの朝が始まる。
このドアを開ければ、「律子先生」になる
「おはよう、みんな」
「おはよう律子先生っ」
「おはようございまーす」
明るい声が律子を引っ張る。
「さあ、いこっか」
「先生、今日は驚かさないよ」
翼が笑う。
「あら先生は、昨日も驚いてませんよ」
「そーだった、あはは…」
「そうだよ先生がびっくりさせたんだよ。ね、アハハ」
「あはは…そうそう」
他愛ない賑やかな会話
屈託の無い笑顔
私の教え子達