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海鳴り
第6章 海鳴り
「…っ、キャーッ…」


律子は恐怖のあまり、咄嗟に相沢の布団に潜り込んだ。


「…す、すみません」


ガタガタと震える相沢の背中に律子の両手が触れた。


「…寒い…」

「は、はい…」


律子は相沢の肩から腕をゴシゴシと擦ってみた。


「す、隙間があるから、さ、寒い…んだ…うぅっ…」

「ごめんなさい……あ、あの…し、失礼します…」


もう、
どうにでもなれ…


律子は布団を頭まで被り、後ろから相沢を抱き締めた。


「………」


相沢の背中に頬を押し当て、右手を胸の方に回した。
相沢は震えながら冷たい指先で律子の手を握りしめた。


「っ…」


律子の指の間に相沢の指が絡まる。


「やっぱり…、夜這いじゃねえか…」

「ち、違います…」


律子が右手を引こうとすると、相沢が強く握り締めながら言った。


「頼む…ここに、いてくれ…」

「…はい…」


律子は相沢の震えが強くなる度に強く抱き締め、時には背中を擦った。

やがて相沢の指先は熱くなり躰の震えはおさまったが、身体中が熱くなってきた。



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