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海鳴り
第6章 海鳴り
律子の中に火が灯った。


この人は

男だ…


躰が熱くなっていく。


私は…

逃れられない



律子の目から熱いものが流れた。

大学卒業と同時に男と別れて以来5年近く、律子は誰とも付き合っていなかった。

深い快楽に溺れた記憶もなく、それが必要だとも思っていなかった。

律子にとって相沢は、目の前に立ちはだかる初めての男のように見えた。


「…律子…」


唇への愛撫を繰り返す相沢に根負けして、律子は閉じていた唇を少し開いた。


「…っ…」


熱い舌が差し込まれ、律子を待つように動かなくなった。


「…ン…」


律子は舌先でその熱いものに何度も触れてみた。

それでも動いてくれない事がもどかしくなり、とうとう自分から舌を絡めた。
相沢の熱い手が乳房を下から包み込む。


「…ん…ンン…」


律子は相沢の背中にしがみつき、その舌を吸いながら更に舌を絡め、熱く柔らかい感触を味わった。

初めてだった。

相沢はゆっくりと律子のボタンを外すと、ブラジャーと一緒にパジャマを取り去った。


「………」


心臓は暴れ続けたが律子はもう、震えてはいなかった。



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