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桜 ~あなたに見られたくて~
第12章 ヌードモデル

やがてアラーム音が鳴り響いて
「お時間となりました、本日はここまでです」
飯塚がそのように告げると
「ええ~?まだ書き上げてないよ」と
あちらこちらから
不満の声が上がります。

どうやら私の体を視姦していて
デッサンの手が疎かになっていたようです。

「仕方ないですねえ…
陽菜さん、良ければ来週もお願いできますか?」

「あ、でも…」

祥子さんの代理で一日だけという約束でしたし
来週もとなると祥子さんのバイトを
横取りしてしまうのではないかと危惧しました。

「祥子さんの事なら大丈夫ですよ
彼女は土曜日でもいいとお伺いしてますし
陽菜さんには日曜日専属でお越し願えればと…」

私的には座っていればいいだけだし
おじさま方の視線を浴びて気持ちいいし
拒む理由などありませんでした。

「わかりました…私でよければ」

私の返答を聞くや否や
おじさま達から拍手喝采を受けました。
こんなに喜んでいただけるなんて
モデル冥利につきます。


おじさん達がアトリエから帰ってしまうと
「陽菜さん、お時間、大丈夫なんでしょ?
少しお茶にしませんか?」と
私の返答を待たずにコーヒー豆を曳き始めました。
とても香ばしい香りが
私をリラックスさせてくれます。

裸の私にバスタオルを羽織らせてくれて
「さあ、座ってくださいな」と
部屋の片隅の応接セットに導かれました。

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