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桜 ~あなたに見られたくて~
第13章 ウェディング

母の陽子と綾辻との挙式は滞りなく進められた。

「最後に夫婦の誓いのキスを…」

神父さんにキスするように促されて
新郎新婦がキスをしたが
これまた長時間のキスで
おまけにフレンチ・キスでいいのに
盛り上がってしまった二人は
舌と舌を絡ませ合うディープキスを
恥ずかしげもなく始めたものだから
神父さんは、もうその辺でいいでしょ?と
ウォッホン!と
あからさまに咳払いをする始末でした。

「では、最後に新郎新婦より
ご参列の皆さま方にお礼の言葉を…」

進行役の司会者から促されて
マイクを手にした綾辻が
「ご報告があります」と話し始めたものだから
参列者たちはザワザワと色めき立った。

「僕たちは今日こうして
夫婦になることができました
そして嬉しいことに妻の陽子のお腹に
新たな命が宿っています」

新郎からの爆弾発言だった。
参列者からは「おめでとう!」と
喜びの声が上がったが
私だけは納得できずに
新郎新婦に詰め寄りました。

「お母さん!何を血迷っているのよ!」

「あら?喜んでくれないの?」

「お父さんを捨てて、
綾辻さんと入籍することまでは許せても
妊娠ですって?
お母さん、年齢の事を考えなさいよ
超高齢出産じゃないの!」

「私もね…最初は堕胎しますって彼に告白したの
でもね…彼が出来れば産んで欲しいって言うの」

「僕がどうしても産んで欲しいと頼んだんだ…
高齢出産のリスクは理解している
でも、この子は僕たちの愛の結晶なんだ
どうしても産んで欲しいんだよ」

新郎新婦の真摯な眼差しに
私は言い返す言葉を失っていました。


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