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桜 ~あなたに見られたくて~
第3章 サイクリング
「コホン!」
おじさんは私の対面のベンチに腰掛けると
わざとらしく咳払いをしました。
そして物色するように
私の胸の膨らみと股間辺りを繁々と
舐めるように見てきました。
「いい天気ですねえ」
おじさんは私に話しかけるでもなく
独り言のようにそう言いました。
「そうですね…いいお天気ですね」
会話が成立したとみるや
おじさんったら私の隣に移動してきたんです
「いやね、子供たちがさあ、
お嬢さんのお尻が丸見えだと言うものだからね」
「まあいやだ!見えてたのかしら?」
私はあくまでも偶然見られたのだと強調しましたが
「もしかして、お嬢さん…
ノーブラですか?」
Tシャツにポッチリが浮き出ているんですから
一目でノーブラとわかりそうなものなのに
念押しするかのように言ってきました。
「はい、ブラジャーって締め付けられるのが
とてもイヤなんです」
「おまけにあんた、
子供たちはノーパンだと言ってましたよ」
私のことを『お嬢さん』から
『あんた』に格下げして呼んできました。
「あのねえ、公序良俗って言葉を知ってるかい?」
「どういうことですか?」
「こういう人が集まる所では
それなりにまともな格好をしなさいって事だよ」
ちょっとこっちに来てもらいましょうかと
おじさんは私の手を引いて
ガードマンの詰め所に連れていきました。
「あの…私、別に悪いことはしてませんけど」
無理やり詰め所の椅子に座らされたので
私はムッとしながら言い返しました。