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桜 ~あなたに見られたくて~
第5章 男の部屋
共同トイレに共同洗面所…
おまけに風呂なし…
昭和の貧乏芸人が住むような物件。
映画やドラマで見たことがあるけれど
令和のこの時代に
まさか本当にこんな下宿があるなんて
思いも寄りませんでした。
でも、一応、彼が住んでいる部屋なので
私は訪問するのに胸がときめいていました。
かわいいケーキなども手土産として用意して
部屋の扉をノックすると
「いらっしゃい」と
爽やかな笑顔で彼が出迎えてくれた。
爽やかだったのは彼の笑顔だけで
部屋に一歩足を踏み入れると
四畳半の畳部屋にはゴミが散乱して
なんだか臭いし…
この異臭は生ゴミの臭さではありません
なんというか…
男の発射するアレの匂いです。
「光俊~、あんたさあ
オナニーのしすぎじゃない?」
私は部屋を訪ねてきた彼女というより
家政婦のように、
まず掃除から始めることにしました。
だって「好きなところに座ってよ」と言われても
どこに座ればいいのか
スペースを探さなきゃいけないほどの
汚部屋なんですもの。
ゴミ箱には大量のティッシュくず…
匂いの元凶がこれです。
ゴミ箱から男のアノ匂いがプンプンしてます。
「オナニーのしすぎ」と注意すると
「だって…他にすることがないし…」と
悪びれた感じもなく
ソレばかりしていることを白状しました。