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桜 ~あなたに見られたくて~
第5章 男の部屋
テレビもない部屋なのに
片隅にはやけに高価そうなカメラが置いてあります
「光俊…これって?」
「ああ、今はフリーターだけど
俺、一応カメラマンを目指しているんだ」
だから、露出撮影を申し出たのね
「腕前はどうなのよ?」
「てんでダメさ…
諦めて故郷の福岡に帰ろうと思っていたんだ
そんな時に陽菜に出会って…
俺、陽菜のためにもう一度頑張るよ」
私のためにと言ってくれたのが最高に嬉しかった
「抱いて欲しくなっちゃった…」
「うん、俺も抱きたい!」
彼は喜んで私に抱きついてきた。
「ああん、勘違いしないで
この部屋ではイヤなの、覚えておいてね」
「え~?なんで、なんで?
かなり片付いたじゃん!」
「お隣さん…住んでらっしゃるんでしょ?」
「ああ、住んでるよ」
「だったら、尚更イヤよ
ここ、壁が薄そうじゃん、声を聞かれたくないわ」
え~?そんなの、関係ねえじゃん、と
彼は拗ねるけど
「あんたと初めてシタのが車の中でしょ?
二度目がこの汚部屋だなんてイヤよ」
女心をわかってよ
「じゃあ…どこならいいんだよ?」
そうねえ、せめて洒落たホテルでも…
そう言いかけて金銭的に余裕のない彼に
それを言ってはいけないと
私は言葉を飲み込みました。