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桜 ~あなたに見られたくて~
第9章 母 陽子

「しばらくここに居ると言ったけど
パパの面倒はどうすんのよ」

「ほっとけばいいのよ
どこかの馬の骨ともわからない女を連れ込んで
うまくやっていくんじゃない」

「パパ…また浮気したの?」

母の陽子もかなりの美人で女優のようだけど
父もまた男前で、ひっきりなしに浮気を繰り返した

「今度はかなり本気みたいよ
だから、こっちから
三くだり半を突きつけてやったわ」

「だからってここに住むつもりなの?
待ってよ、お母さんの面倒を見れるほど
私、高給取りじゃないのよ」

「心配しないで、そのうち働きに出るから」

ついでにどこかに部屋を借りて自立してよねと
私は母との同居を快く思っていないことを
さりげなく告げた。

「わかってるわよ…
さて、とりあえず買い物に行きましょう」

「買い物って?」

「着替えとか持ってきたけど
日用品は置いてきちゃったから
新しいのを買わないとね」

こちらの都合も聞かずに
母は私を連れ出して
買い物に行く羽目になりました。


母と一緒に歩いていると
すれ違う男性が思わず振り向いて 
品定めするように見つめてきます。

「ねえ、お母さん…
もう少し年相応の格好をすれば?」

いくらスタイルがいいとは言え
私と同じようなミニスカート姿なんて
一緒に歩くことさえ恥ずかしくなっちゃう。
でも、悔しいかな、そのファッションが
母にはとても似合っていた。

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