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インセスト・タブー
第2章 縺れていく血の糸
やっぱり、嫌われている。
彼――ゴーシュとあたしは、公表されていない兄弟だ。詳しいことは知らされていないが、父が違うらしい。
あたしの父は彼の父よりも身分が高いため、あたしたち二人にも格差が存在するようだ。あたしは別に気にしていないのだが、彼の方はあたしと一線を画し、そもそも距離を置いている。
ふっとため息をつき、謁見のために用意された部屋の扉を叩いた。
名を名乗ると入るよう促され、失礼します、と扉を引く。チラと奥へ目をやると、真ん中に玉座のように豪華な、背もたれと肘置きの付いた椅子があり、その向かって右側にもう一つ、椅子があった。
それらを前に膝まずき待っていると、やがて奥の扉が開く。二ヶ所で座った気配がし、少しして男性の、深みのある声が響いた。
「面を上げよ」
「は」
ゆっくりと半分だけ上げると、正面の大きな椅子には、恐らくまだ10歳にも満たないだろう幼い男子が座っていた。
彼――ゴーシュとあたしは、公表されていない兄弟だ。詳しいことは知らされていないが、父が違うらしい。
あたしの父は彼の父よりも身分が高いため、あたしたち二人にも格差が存在するようだ。あたしは別に気にしていないのだが、彼の方はあたしと一線を画し、そもそも距離を置いている。
ふっとため息をつき、謁見のために用意された部屋の扉を叩いた。
名を名乗ると入るよう促され、失礼します、と扉を引く。チラと奥へ目をやると、真ん中に玉座のように豪華な、背もたれと肘置きの付いた椅子があり、その向かって右側にもう一つ、椅子があった。
それらを前に膝まずき待っていると、やがて奥の扉が開く。二ヶ所で座った気配がし、少しして男性の、深みのある声が響いた。
「面を上げよ」
「は」
ゆっくりと半分だけ上げると、正面の大きな椅子には、恐らくまだ10歳にも満たないだろう幼い男子が座っていた。