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インセスト・タブー
第2章 縺れていく血の糸
「そなたは少し勘違いしている」
と、ポズナン公が口を挟む。

「師としてというよりかは、どちらかと言えば共に剣の腕を磨き合うための、いわば好敵手の役割をそなたに、と仰せなのだ」

好敵手…ライバル、ということか。

「殿下は剣の才能に恵まれ、その御腕前は同じ年頃の剣に覚えのある者を全員打ち負かしてしまうほど。それどころか、さらに年長の者でさえ真剣勝負で殿下に敵わぬこともある」

…なるほど。

同年代の者が稽古の相手をしても、殿下には手ぬるく、剣の腕もあまり上達しない。打ち合っていて手応えを感じる、互いに競い合うようなライバルを殿下はお探しなのだ。その役を、指導という名目で、あたしに頼んでいる。

「そなた、実践はまだだが、腕は確かだと聞く。歳も余とそう離れていない。互いに剣を高め合う良い関係になってはくれぬか」
か細い声で、殿下が仰った。

そうか…そういうことならば。

「謹んでお引き受け致します」
笑みを添えて、申し上げた。
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