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インセスト・タブー
第3章 主たる器の人は心の鎧にキスをする
「いえ、本当です。わたくしは殿下の火龍のごとき猛攻には太刀打ちできず受け身になりがちで、殿下の体力切れの隙を狙って勝っております」
確かに少々大袈裟には言ったが、今の勝因として筋力や体力の差が大きいというのは事実だった。太刀筋も安定しており、殿下の剣は、普段のご様子からは想像できないほど猛々しく積極的な“攻めの剣”だ。
もし歳が同じだったなら、もし最後に勝てたとしても今のように簡単ではなかっただろう。
「殿下がお歳を召され、体力において優位でなくなれば、たちまち敵わなくなるかもしれません。これはうかうかしていられませんね、もっと鍛練を積まねば!」
殿下に笑いかけると、自信を少し取り戻して頂けたのか、殿下も笑みをお返し下さった。
「…そなたは」
「は」
「男子であろう。なぜそのような格好をしておるのだ?」
殿下のまっすぐな目が、こちらへ向けられた。なぜ、というのは、責め立てているのではなく、純粋に問うているものだった。
あたしは口をつぐんだ。どう答えて良いものか、考えていた。
確かに少々大袈裟には言ったが、今の勝因として筋力や体力の差が大きいというのは事実だった。太刀筋も安定しており、殿下の剣は、普段のご様子からは想像できないほど猛々しく積極的な“攻めの剣”だ。
もし歳が同じだったなら、もし最後に勝てたとしても今のように簡単ではなかっただろう。
「殿下がお歳を召され、体力において優位でなくなれば、たちまち敵わなくなるかもしれません。これはうかうかしていられませんね、もっと鍛練を積まねば!」
殿下に笑いかけると、自信を少し取り戻して頂けたのか、殿下も笑みをお返し下さった。
「…そなたは」
「は」
「男子であろう。なぜそのような格好をしておるのだ?」
殿下のまっすぐな目が、こちらへ向けられた。なぜ、というのは、責め立てているのではなく、純粋に問うているものだった。
あたしは口をつぐんだ。どう答えて良いものか、考えていた。