この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
インセスト・タブー
第4章 歪みは波紋のように広がり
あたしは無言のまま引き離す。何もなかったかのようにエリザーベトを避け、背にした。
「ねえ、その格好、いつまでするの?」
後ろから投げ掛けられたその言葉を、あたしは聞き流す。
「…私は別にいいけれど。“どちらでも”」
あたしは一瞬歩みを止めるが、何も言い返さず、すぐにまた奥へ向かった。
「…そうか。それでさっきのお前の剣、かなり荒れてたのか」
カレルが横で、自分の膝に肘をつきながら呟いた。
カレルの実家にきていた。カレルは騎士見習いの身だが、こうしてたまに帰ってくると、あたしと剣の打ち合いをしたり、部屋で一緒にくつろいでいる。
「おまえの家が元に戻るには…どうすればいいんだろうな」
考えるカレルに、無理よ、とあたしは言った。
「…あたしは彼女に対して、嫌悪感しかない」
眉ひとつ動かさず、あたしは言う。あたしたちは、もう“正常”に戻れないほど“異常”なのだ。
「まあ、無理もないか…」
ベッドの縁に座るカレルが、頭の後ろで手を組み、ごろんと寝転んだ。
あたしもその隣に横たわる。仰向けになり、薄汚れた天井を隠すように、自らの腕で目を覆った。
「ねえ、その格好、いつまでするの?」
後ろから投げ掛けられたその言葉を、あたしは聞き流す。
「…私は別にいいけれど。“どちらでも”」
あたしは一瞬歩みを止めるが、何も言い返さず、すぐにまた奥へ向かった。
「…そうか。それでさっきのお前の剣、かなり荒れてたのか」
カレルが横で、自分の膝に肘をつきながら呟いた。
カレルの実家にきていた。カレルは騎士見習いの身だが、こうしてたまに帰ってくると、あたしと剣の打ち合いをしたり、部屋で一緒にくつろいでいる。
「おまえの家が元に戻るには…どうすればいいんだろうな」
考えるカレルに、無理よ、とあたしは言った。
「…あたしは彼女に対して、嫌悪感しかない」
眉ひとつ動かさず、あたしは言う。あたしたちは、もう“正常”に戻れないほど“異常”なのだ。
「まあ、無理もないか…」
ベッドの縁に座るカレルが、頭の後ろで手を組み、ごろんと寝転んだ。
あたしもその隣に横たわる。仰向けになり、薄汚れた天井を隠すように、自らの腕で目を覆った。