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インセスト・タブー
第4章 歪みは波紋のように広がり
「あら」
振り向くと、ゴーシュが立っていた。ゴーシュの方から話しかけてくるとは、また珍しい。
「ゴーシュ、どうしたの?」
笑いかけるが、ゴーシュは無表情だった。あたしの前ではいつもそうだ。
「お話がございます」
改まるゴーシュ。じゃあどこかで、と持ちかけるが、ゴーシュは間髪を入れずに、いえここで結構です、と断った。
「わたくしの使用人が、どうもエオレ様とアデム殿下の剣の訓練を見に伺っているようなのです。みっともないからやめろと言っているのですが、聞かないので是非エオレ様から注意して頂けませんか?」
「んえっ?」
途中までうんうんと相槌を打っていていたあたしが、急に話の流れが妙な方向へ変わりむせそうになる。
「エオレ様ほど高貴な方から言われれば、さすがにあのような醜態を反省すると思うのです。お願いします」
あたしに口を挟む間を与えぬほど早口で一息に言い切ると、お話はそれだけです、とゴーシュは立ち去った。
「…あたしが他人の主従関係に介入するのもどうなのかしらねぇ…」
ため息をつき、王宮をあとにした。
振り向くと、ゴーシュが立っていた。ゴーシュの方から話しかけてくるとは、また珍しい。
「ゴーシュ、どうしたの?」
笑いかけるが、ゴーシュは無表情だった。あたしの前ではいつもそうだ。
「お話がございます」
改まるゴーシュ。じゃあどこかで、と持ちかけるが、ゴーシュは間髪を入れずに、いえここで結構です、と断った。
「わたくしの使用人が、どうもエオレ様とアデム殿下の剣の訓練を見に伺っているようなのです。みっともないからやめろと言っているのですが、聞かないので是非エオレ様から注意して頂けませんか?」
「んえっ?」
途中までうんうんと相槌を打っていていたあたしが、急に話の流れが妙な方向へ変わりむせそうになる。
「エオレ様ほど高貴な方から言われれば、さすがにあのような醜態を反省すると思うのです。お願いします」
あたしに口を挟む間を与えぬほど早口で一息に言い切ると、お話はそれだけです、とゴーシュは立ち去った。
「…あたしが他人の主従関係に介入するのもどうなのかしらねぇ…」
ため息をつき、王宮をあとにした。