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インセスト・タブー
第4章 歪みは波紋のように広がり
何日か過ぎ――殿下があたしを追い詰めるくらい腕を上げた頃になっても、少女は稽古を見に来ていた。…あたしはその間も何も言えず。

ある日いつものように王宮へ来ると、彼女と鉢合わせた。

「あ……」
少女は気まずそうに肩を縮め、小さく声を漏らした。一瞬目を泳がせたが、こんにちは、と挨拶を寄越した。

「ああ、こんにちは」
何とか笑み、挨拶を返す。

と、少女は刹那、あたしを見つめた。…しっとりと、熱い視線。

あ……。

「…それじゃあね」
あたしは彼女の横を足早に通りすぎ、そそくさと稽古場へ向かった。

あれだ、と思った。あたしの苦手な目。あたしの苦手な感情が、込められているように感じた。


降ってくる攻撃の刃を無心に跳ね返していると、殿下は急に手をお止めになった。

「エオレ」
殿下のお声に、はっと我に返る。

「は」
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