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インセスト・タブー
第4章 歪みは波紋のように広がり
「疲れた。今日はここまでにする」
殿下は静かに剣を納められ、あたしもそれにならった。
「余は、いつどこで、誰に命を狙われてもおかしくない身だ。殊に、欲望の渦巻くここはな。王宮は外からの攻撃には強いが、内からの攻撃には弱いのだ」
「…はい」
「そこで、明日からはオパリンスキ邸にてそなたとの訓練を行いたい。話は余からポズナン公へつけておくゆえ」
涼しげなエメラルドの目が、あたしを見上げていた。ああ、この姿の理由をご存じの殿下は…お気づきだ。
「は…承知致しました」
剣を納め、頭を下げる。正直、ご配慮頂いた感謝よりも、お気を遣わせてしまった申し訳なさが先行していた。
自分の邸へ戻る。玄関へ入ると、“他人の帽子は”なかった。無意識にほっとしてしまう自分に気づき、苦笑しながらも部屋へ向かう。
と、突然後ろから抱き締められた。
「エオレ」
エリザーベトの声だ。物陰に身を潜めていたらしい。
殿下は静かに剣を納められ、あたしもそれにならった。
「余は、いつどこで、誰に命を狙われてもおかしくない身だ。殊に、欲望の渦巻くここはな。王宮は外からの攻撃には強いが、内からの攻撃には弱いのだ」
「…はい」
「そこで、明日からはオパリンスキ邸にてそなたとの訓練を行いたい。話は余からポズナン公へつけておくゆえ」
涼しげなエメラルドの目が、あたしを見上げていた。ああ、この姿の理由をご存じの殿下は…お気づきだ。
「は…承知致しました」
剣を納め、頭を下げる。正直、ご配慮頂いた感謝よりも、お気を遣わせてしまった申し訳なさが先行していた。
自分の邸へ戻る。玄関へ入ると、“他人の帽子は”なかった。無意識にほっとしてしまう自分に気づき、苦笑しながらも部屋へ向かう。
と、突然後ろから抱き締められた。
「エオレ」
エリザーベトの声だ。物陰に身を潜めていたらしい。