この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
インセスト・タブー
第5章 おのが癒しを求めて他が苦しみを生む
「ええ、つつがなく」
ただそれだけを答えるゴーシュ。いつものことだが、こちらから聞いたことには答えるが、最低限の情報しか寄越さない。…あまりあたしと話したくないのだろう。
「そう」
あたしも、こう返すしかなかった。
「では失礼します」
ゴーシュは流れるような早さで会釈し、あっという間に姿を消した。
廊下を歩きながら、しまった、と思う。あたしの避けている少女がゴーシュの使用人だと、殿下にお伝えしていなかったことを今さらながら後悔する。
そもそもこちらへは、あたしが例の少女を苦手としていることお察しの殿下がお気を利かせて下さり、殿下の身の安全のためということにして王宮から移動したのだが…。
ゴーシュがここにいるということは、彼女も来ている可能性が大きい。彼女を遠ざけようとご配慮頂いた殿下には申し訳ないなと思った。
申し訳ないついでにさらに言うと、実は以前殿下にお話ししたことの中には、所々嘘が散りばめられていた。本当のところ…あたしは、このオパリンスキ邸もあまり好きでない。
ただそれだけを答えるゴーシュ。いつものことだが、こちらから聞いたことには答えるが、最低限の情報しか寄越さない。…あまりあたしと話したくないのだろう。
「そう」
あたしも、こう返すしかなかった。
「では失礼します」
ゴーシュは流れるような早さで会釈し、あっという間に姿を消した。
廊下を歩きながら、しまった、と思う。あたしの避けている少女がゴーシュの使用人だと、殿下にお伝えしていなかったことを今さらながら後悔する。
そもそもこちらへは、あたしが例の少女を苦手としていることお察しの殿下がお気を利かせて下さり、殿下の身の安全のためということにして王宮から移動したのだが…。
ゴーシュがここにいるということは、彼女も来ている可能性が大きい。彼女を遠ざけようとご配慮頂いた殿下には申し訳ないなと思った。
申し訳ないついでにさらに言うと、実は以前殿下にお話ししたことの中には、所々嘘が散りばめられていた。本当のところ…あたしは、このオパリンスキ邸もあまり好きでない。