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インセスト・タブー
第5章 おのが癒しを求めて他が苦しみを生む
小ぶりだが、しっかりとそれらしく形作られた男性の象徴は、興奮したわけでもないのに膨張し、起ち上がっていた。処理の仕方を教えてあげる、という聞きなれた声とともに、まだ無垢なそれに手が伸ばされる――

自身の下半身に手を差し入れるエリザーベト――

そして、それが許されざる行為だと、まだ知らなかった頃。おいで、と引き寄せられ、そのまま衣服を脱がされる。露になったグロテスクなそれが、めくれ上がったドレスの中に押し入れられていく――

裸体をさらし足を上げるエリザーベトに跨がり、揺すられる、同じく全裸の自分――

「ああっ…!」
頭を抱え、嫌な記憶を振り払うようにかぶりを振って座り込む。

嫌だ…っ!思い出したくない、のに…っ。やめて…。やめてやめてやめて。

やめて!


もう一度、思い切り頭を振る。


「エオレ様!?」
今は聞きたくない声が耳に届く。何かが落ちた音の後、少女があたしに駆け寄ってきた。

「どうされたのですか!?」
少女の声が裏返る。

「ちょっと…気分が悪くなっただけだから」
ぜえぜえと過呼吸気味の息を整え、ふらふらと立ち上がる。
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