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インセスト・タブー
第5章 おのが癒しを求めて他が苦しみを生む
「は……?」
藪から棒な殿下の謝罪のお言葉に、きょとんとする。
「あの者はヴァーサ家の者で、ここへはよく出入りしているらしいな。先刻邸の者に聞いた。…知らなかったのだ」
「ああ…いえ」
「場所を変えるか?」
「とんでもないです。わたくしの我が儘にて殿下を振り回してしまい、申し訳ありません」
そもそも身のほども知らず殿下のお手を煩わせたのはあたしだ。ここまでして頂いた殿下には感謝こそすれ、咎めたりなど誰ができようか。
だが…殿下はお寂しそうに笑われた。
「余はいつも空回りばかりだ」
ふっと日に雲がかかり、辺りが一時陰った。あたしの失態でなぜ殿下のお顔が暗くなるのか…この時のあたしにはわからなかった。
明くる日。オパリンスキ邸の一室に、今回の渦中の人物となった少女と、その主ゴーシュがいた。
「聞いたぞ。お前…昨日の一件に一枚噛んでるらしいな」
ゴーシュが眉間にしわを刻みながら言った。
「申し訳ございません」
謝る少女に、詰問のようにゴーシュが詰め寄る。
「あの人と何があった?」
藪から棒な殿下の謝罪のお言葉に、きょとんとする。
「あの者はヴァーサ家の者で、ここへはよく出入りしているらしいな。先刻邸の者に聞いた。…知らなかったのだ」
「ああ…いえ」
「場所を変えるか?」
「とんでもないです。わたくしの我が儘にて殿下を振り回してしまい、申し訳ありません」
そもそも身のほども知らず殿下のお手を煩わせたのはあたしだ。ここまでして頂いた殿下には感謝こそすれ、咎めたりなど誰ができようか。
だが…殿下はお寂しそうに笑われた。
「余はいつも空回りばかりだ」
ふっと日に雲がかかり、辺りが一時陰った。あたしの失態でなぜ殿下のお顔が暗くなるのか…この時のあたしにはわからなかった。
明くる日。オパリンスキ邸の一室に、今回の渦中の人物となった少女と、その主ゴーシュがいた。
「聞いたぞ。お前…昨日の一件に一枚噛んでるらしいな」
ゴーシュが眉間にしわを刻みながら言った。
「申し訳ございません」
謝る少女に、詰問のようにゴーシュが詰め寄る。
「あの人と何があった?」