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インセスト・タブー
第5章 おのが癒しを求めて他が苦しみを生む
少女は再び謝罪し、それきり口を閉ざした。
「…もういい。お前は使えない、実家へ戻れ」
「…はい」
頭を下げて立ち去ろうとする少女。その手を、ゴーシュがつかんだ。びくりとして少女が振り向くと、そこには男の顔があった。
「…申し訳もしないのだな」
ゴーシュが顔を歪めた。
「ゴーシュ、様…?」
「なぜわからない…お前は…。なぜあの人ばかりを追う…!」
小さな肩をつかみ、壁へ押し付ける。見上げると、二つの感情に囚われたゴーシュの目が、じっと少女を見つめていた。
聡明な少女は気づく。やっとわかった。ああ、この方は…ただ不器用なのだ、と。
「ゴーシュ様…」
「自由にしろ」
ゴーシュは少女を解放し、背を向けると、少女を一人残して部屋を出ていく。
ゴーシュの愛と嫉妬に苦しむ顔が目に焼き付き、暫時その面影を見つめていたが、やがて少女も扉へ向かう。そうして廊下に出た時、殿下との練習を終えたあたしと、ばったり出くわした。
少女はためらいがちに声を掛けようとする。
「…もういい。お前は使えない、実家へ戻れ」
「…はい」
頭を下げて立ち去ろうとする少女。その手を、ゴーシュがつかんだ。びくりとして少女が振り向くと、そこには男の顔があった。
「…申し訳もしないのだな」
ゴーシュが顔を歪めた。
「ゴーシュ、様…?」
「なぜわからない…お前は…。なぜあの人ばかりを追う…!」
小さな肩をつかみ、壁へ押し付ける。見上げると、二つの感情に囚われたゴーシュの目が、じっと少女を見つめていた。
聡明な少女は気づく。やっとわかった。ああ、この方は…ただ不器用なのだ、と。
「ゴーシュ様…」
「自由にしろ」
ゴーシュは少女を解放し、背を向けると、少女を一人残して部屋を出ていく。
ゴーシュの愛と嫉妬に苦しむ顔が目に焼き付き、暫時その面影を見つめていたが、やがて少女も扉へ向かう。そうして廊下に出た時、殿下との練習を終えたあたしと、ばったり出くわした。
少女はためらいがちに声を掛けようとする。