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インセスト・タブー
第6章 苦しみから逃れるには勇気を以て立ち向かえ
「エオ…レ、様…」
きょとんとしていた少女が、やっとここで言葉を発した。
二階から少女がいたところまで、水のあとが直線状に伸びている。少女はほとんど濡れていない。あたし自身もかかるまいと間に合わせたつもりだったが、頭から肩にかけて思い切り濡れていた。勢いのあまり、少女の上に重なるように倒れ込んでいる。
もう一人の首謀者だろう花屋の少女は、早々に窓辺から姿を消して無関係を装っていた。あたしが立ち上がろうとするのを見て、そばかす少女も慌てて逃げる。
あたしは少女から離れると、そのまま背を向け歩き出した。すると、お待ちください、と少女があたしに駆け寄る。
「お召し物を替えなければ。私の下宿先、ここから近いので」
あたしの前に回り込むと、少女はそう言った。
「…別に、いいわよ。気にしないで」
あたしがよけて行こうとすると、少女が阻むように立った。
「ダメです。風邪を引かれます」
有無を言わさぬ少女の気迫に、あたしももうどうでもよくなった。
少女は再び袋を抱えあげると、こちらへ、とあたしの前を行く。こっそり帰ることもできたが、あたしの意思とはいえ、少女が責任を感じるかもしれないと思い素直について行った。
きょとんとしていた少女が、やっとここで言葉を発した。
二階から少女がいたところまで、水のあとが直線状に伸びている。少女はほとんど濡れていない。あたし自身もかかるまいと間に合わせたつもりだったが、頭から肩にかけて思い切り濡れていた。勢いのあまり、少女の上に重なるように倒れ込んでいる。
もう一人の首謀者だろう花屋の少女は、早々に窓辺から姿を消して無関係を装っていた。あたしが立ち上がろうとするのを見て、そばかす少女も慌てて逃げる。
あたしは少女から離れると、そのまま背を向け歩き出した。すると、お待ちください、と少女があたしに駆け寄る。
「お召し物を替えなければ。私の下宿先、ここから近いので」
あたしの前に回り込むと、少女はそう言った。
「…別に、いいわよ。気にしないで」
あたしがよけて行こうとすると、少女が阻むように立った。
「ダメです。風邪を引かれます」
有無を言わさぬ少女の気迫に、あたしももうどうでもよくなった。
少女は再び袋を抱えあげると、こちらへ、とあたしの前を行く。こっそり帰ることもできたが、あたしの意思とはいえ、少女が責任を感じるかもしれないと思い素直について行った。