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インセスト・タブー
第6章 苦しみから逃れるには勇気を以て立ち向かえ
そう言えば先ほど気になったが…“下宿先”?ゴーシュとともにオパリンスキ邸に住み込んでいるか、そうでなければ侍従するヴァーサ家に一室用意されているとばかり思っていたが。
――口に出すことはない。心で悶々と考えながら、無言のまま少女の後ろを歩く。雨なんて降ってないのに濡れているあたしを見た人が、不思議そうな顔をしてすれ違っていった。
「なぜ…私を庇って下さったのですか?」
少女は背を向けたまま、ぽつりと尋ねた。周りの騒がしさにかき消されてしまいそうな声だった。
「…あたしにもわからないわ。見ちゃったから…助けないわけにもいかなかったんだと思う」
無表情で答える。と、少女が振り向いた。
「ありがとうございました、エオレ様。濡れさせてしまってごめんなさい」
謝りながら、少女は少し嬉しそうだった。
そうして着いたのは、町の酒場だった。昼間だからか、今は誰もいないようだ。厨房にも誰も立っていない。
テーブルの間を抜け、部屋の奥へ行く。二階に続く階段があった。少女に続いて上がっていくと、扉がいくつかあった。
そのうちの一つへ入り、少しして出てきた。手には、ちょっと古い型のドレス。
「こちらにお着替えください。少しサイズが合わないかもしれませんが」
――口に出すことはない。心で悶々と考えながら、無言のまま少女の後ろを歩く。雨なんて降ってないのに濡れているあたしを見た人が、不思議そうな顔をしてすれ違っていった。
「なぜ…私を庇って下さったのですか?」
少女は背を向けたまま、ぽつりと尋ねた。周りの騒がしさにかき消されてしまいそうな声だった。
「…あたしにもわからないわ。見ちゃったから…助けないわけにもいかなかったんだと思う」
無表情で答える。と、少女が振り向いた。
「ありがとうございました、エオレ様。濡れさせてしまってごめんなさい」
謝りながら、少女は少し嬉しそうだった。
そうして着いたのは、町の酒場だった。昼間だからか、今は誰もいないようだ。厨房にも誰も立っていない。
テーブルの間を抜け、部屋の奥へ行く。二階に続く階段があった。少女に続いて上がっていくと、扉がいくつかあった。
そのうちの一つへ入り、少しして出てきた。手には、ちょっと古い型のドレス。
「こちらにお着替えください。少しサイズが合わないかもしれませんが」