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インセスト・タブー
第7章 錯綜する想いは
「もうすぐだから、待っててくれ」
真剣な顔つきで言うカレル。そんなカレルに、あたしはなんとも言えない笑みを投げた。

「ここの踊り子になるのもいいかもしれないわねぇ」
グラスを手に豪快に笑う男性らを眺めながら、明朗な口調で言った。…視界の片隅で、カレルがガバリと顔を上げたのが見えた。


と、また音楽が始まった。

「騎士より向いてる気がするし、好きだもの、ダンス」
ふふっ、と笑うと、また席を立つ。空いた酒樽の横で騒いでいる集団の方へ歩いていく。

「エオレちゃん、俺と踊ってくれよ」
その中の大柄な男性が、赤ら顔で手招きする。男性たちは店の常連客で、あたしとも顔馴染みだ。

「そうねぇ…。でもウカジュさん、よくあたしの足踏んじゃうんだもの。シラフの時ならいいんだけど」
あたしがそう言うと、確かになぁ、と一緒に飲んでいた他の客が笑う。

「今も酔っぱらってるしなぁ。ダメかぁ~」
残念だ、と大きな肩をがっくり落とすウカジュさん。

「なぁんてね。冗談よぉ」
くすくす笑い、男性の手を取る。

曲に合わせて二人でステップを踏むが、男性は酔いのせいかワンテンポ遅れている。周囲は冷やかし、笑った。ここではもはや、すっかりお馴染みの光景になっていた。
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