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インセスト・タブー
第7章 錯綜する想いは
「そう言えば、知ってるか?」
ダンスが一区切りし、世間話に花を咲かせていると、酩酊状態の男性が回らない呂律で言った。
「最近王宮の陰で、専らの噂なんだけどよ。国王陛下の弟君の御子、アデム殿下は…実は女って話だぜ」
「ええっ!?」
どよめきが起こった。皆ひどく驚いた後、周りと顔を見合わせていた。
前よりは頻度が減ったが、殿下とは今でも交流があった。長くお付き合いさせて頂いているあたしも、そんな噂をこの頃よく聞く。殿下は、一般の男子ならそろそろ身体の特徴が出始めても不思議ではない歳頃になられたが、病弱で、未だに華奢な体つきをされている。
ご本人も気にされているようなので、あたしもわざわざ指摘したり、周りに確認したりはしないし、聞いたとしても恐らく誰もが口をつぐむ。殿下のお人柄を知る者は誰一人、殿下を貶めるようなことはしないのだ。
「あら。あたしだって昔、男の子の格好をしていても女の子とよく間違えられたわ。あんまり滅多なことは言っちゃダメよぉ」
あたしがやんわりたしなめると、男性は赤い顔を弛ませて頭を掻いた。
「へへっ、エオレちゃんに言われちゃなぁ。わかったよ」
男性が首をすくめ、えらく素直だな、と男性を囲む他の客たちが笑った。
ダンスが一区切りし、世間話に花を咲かせていると、酩酊状態の男性が回らない呂律で言った。
「最近王宮の陰で、専らの噂なんだけどよ。国王陛下の弟君の御子、アデム殿下は…実は女って話だぜ」
「ええっ!?」
どよめきが起こった。皆ひどく驚いた後、周りと顔を見合わせていた。
前よりは頻度が減ったが、殿下とは今でも交流があった。長くお付き合いさせて頂いているあたしも、そんな噂をこの頃よく聞く。殿下は、一般の男子ならそろそろ身体の特徴が出始めても不思議ではない歳頃になられたが、病弱で、未だに華奢な体つきをされている。
ご本人も気にされているようなので、あたしもわざわざ指摘したり、周りに確認したりはしないし、聞いたとしても恐らく誰もが口をつぐむ。殿下のお人柄を知る者は誰一人、殿下を貶めるようなことはしないのだ。
「あら。あたしだって昔、男の子の格好をしていても女の子とよく間違えられたわ。あんまり滅多なことは言っちゃダメよぉ」
あたしがやんわりたしなめると、男性は赤い顔を弛ませて頭を掻いた。
「へへっ、エオレちゃんに言われちゃなぁ。わかったよ」
男性が首をすくめ、えらく素直だな、と男性を囲む他の客たちが笑った。