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インセスト・タブー
第8章 心のすぐ横を通りすぎていく
エリザーベトは、椅子に腰掛けながら、廊下の方を見ていた。先ほどまでエオレの立っていたところだ。
エリザーベトはテーブルに視線を戻した。目の前に、グラスや料理が置かれていく。と、エリザーベトの横に立つ若い女性が、ひっ、と声をあげた。
配膳していた女性は黙り込み、俯く。下腹部に違和感があった。エリザーベトの手が、いやらしく撫で回していた。
「お、奥様…」
遠慮がちに口を開く女性。だがエリザーベトは手を止めない。
「あら…嫌?」
いつもと変わらぬ声色のエリザーベト。顔色をうかがうように、ちら、と女性がエリザーベトを見やる。
その目からは、何の感情も見えなかった。女性は、いえ、と消え入るような声で言い、再び押し黙る。ただじっと、その行為に耐えていた。
それを見ていた少女は、目を伏せた。ここでのこういった光景は、既に何度か目にしていた。だが少女には何もできない。目をつぶるしかなかった。
「あなた、このあと……」
エリザーベトが言いかけたところで、奥様、と別の声が遮った。
「……何?」
エリザーベトが振り向く。声を掛けてきたのは、同じく使用人の一人だった。エリザーベトより年上で、使用人のなかでも古株の方だ。
エリザーベトはテーブルに視線を戻した。目の前に、グラスや料理が置かれていく。と、エリザーベトの横に立つ若い女性が、ひっ、と声をあげた。
配膳していた女性は黙り込み、俯く。下腹部に違和感があった。エリザーベトの手が、いやらしく撫で回していた。
「お、奥様…」
遠慮がちに口を開く女性。だがエリザーベトは手を止めない。
「あら…嫌?」
いつもと変わらぬ声色のエリザーベト。顔色をうかがうように、ちら、と女性がエリザーベトを見やる。
その目からは、何の感情も見えなかった。女性は、いえ、と消え入るような声で言い、再び押し黙る。ただじっと、その行為に耐えていた。
それを見ていた少女は、目を伏せた。ここでのこういった光景は、既に何度か目にしていた。だが少女には何もできない。目をつぶるしかなかった。
「あなた、このあと……」
エリザーベトが言いかけたところで、奥様、と別の声が遮った。
「……何?」
エリザーベトが振り向く。声を掛けてきたのは、同じく使用人の一人だった。エリザーベトより年上で、使用人のなかでも古株の方だ。