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インセスト・タブー
第2章 縺れていく血の糸
「エオレ…」
カレルは掛ける言葉が見つからなかった。と、金髪のポニーテールが揺れ、急に口をつぐんだ彼を振り返った。

「あら、そんな悲しい顔しないでよ。そんなこと覚悟の上でこの格好してるんだから」
変な空気をかき消すように、エオレは碧眼を細めて笑った。

「でも…」

「騎士になれなくても、強くなれなくてもあたしは構わないし、そうしたくてしてるんだから、あなたもあなたの道を生きればいい」
凛と言い放つ青年は、女性の口調や見た目をしていても、誰よりもかっこよく、美しく見えた。

「そうして騎士になったら、あたしを守ってよ」
いたずらっぽく笑うと、エオレはまた背を向け、歩き始めた。

「エオレ」
カレルは呼び掛け、後ろから軽く抱き締める。エオレは立ち止まり、すぐ横の顔を引き寄せ、頬に口づけた。

「またね」
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