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混沌の館
第12章 重い女
 お酒が進んでくると、ついつい不埒な欲望が頭をもたげてくるものだ。


 キャサリンは身体にピッタリとフィットしたベージュのスーツを着ていた。太目だと思っていたが、こうして見てみるとボリューム感が漂っている。

 何と言っても、久美と中途半端なセックスをしてから2カ月が過ぎている。


 下手な事をしては後が面倒になる。何せ共通の友達も多いのだ。何とか自制心を保っていたが、酔いが回るにつれて強烈な性欲が頭をもたげてきた。


 時間は21時を少し過ぎた頃だった。私は、そろそろ行こうかとキャサリンを促して店を出た。



 次は何処に行くの?というキャサリンに、ホテルで一旦チェックインを済ませたいと告げ、直ぐに済むからついてきてと頼んだ。



 二人とも40を超えた人生経験豊富な大人の男女だ。ホテルに一緒に行くという事がどういう事か、承知している。店を出る時、キャサリンは腕を絡ませてきた。

 ホテルは、居酒屋から歩いて5分ほどのビジネスホテルだった。2階がフロントになっており、1階からフロントを通らずに客室のあるフロアーへ行けるようになっていた。
私は、キャサリンを1階で待たせ、チェックインを済ませると客室に向かわずに1階に降りた。



「少し部屋で休まない?」



 キャサリンの顔は上気し目はとろん、と潤んでいた。私の誘いに、うん、と小さく返事をして私と一緒にエレベーターに乗り込んだ。





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