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混沌の館
第7章 久美の秘密
 付き合いが一カ月にも及ぶと色々と分かってきた事もあった。


 一つは、久美の病気の事だった。


 久美は何時も食後に薬を服用していた。何か病気なのかと思っていたが、余り詮索すると疎まれると思い遠慮していたのだが、ある日、それについても言及してくれた。



 久美は、うつ病を患っていたのだ。それも10年以上に渡って治療を続けているという事だった。そして、元夫の暴力の原因も病気に対する理解が得られなかった事に拠るのだと言う。


 元夫が家計を任せてくれなかったのは、久美が旅行や買い物で散財するからだったのだ。



 少しずつ事実が見え始めた頃、久美の態度にも変化が現れ始めた。



 それまで毎日数往復していたメールが徐々に減っていき、それにつれて私と会う頻度も少なくなっていた。


 久美は、バレーボールの大会が近いので忙しと言い、私もそれを信じた。



 久美の変化が現れる以前、私たちは一緒に旅行する約束をしていた。
涼しくなり始める時期を選んで一カ月以上前から計画を練り、休みを申請し、ホテルも予約していた。


 旅行の一週間前、連絡も途絶えがちになり、なかなか会ってくれない久美に不安になり是非を確認したが、久美は予定通りいくと言う。



 私は取り越し苦労と思い、予定通り旅行の日を迎えた。





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