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俺と彼女の理不尽な幽霊譚
第1章 女子高生と俺
(……は?何だ、これ)
清楚な女子高生にワンカップと、塩。思わずまじまじと手の中の小ビンと少女を見比べてみるも、レジ前に佇む彼女の無表情は変わらない。
この美少女が塩を肴に清酒で一杯?そんな馬鹿な。罰ゲームか何かだろうかと無理矢理に納得して、そのまま接客マニュアルに移行する。
「大変申し訳ございませんが、お客様。こちらのアルコールは未成年の方に販売する事が出来ません」
そう言いながらレジ脇へと商品を避けようとすると、ぺちんっと手の甲を叩かれた。と言うか、はたき落とされた。
「いて……!?」
「良い、早く会計」
「は?…いや、だから未成年には売れないって」
「貴様馬鹿か?そんなもの、私が飲むわけなかろう」
貴様? なかろう? 侍かお前は。
「いや、でも…」
「でももクソも無い。早くしろ、貴様の為に言っている」
……何だコイツ。
見た目を裏切らない鈴を転がすような可憐な声で、不遜に言い放つその様に張り付いた愛想笑いが凍りつく。俺の為って何だ、それは脅迫か。というか何だその古風な言葉使い、意味不明にも程がある。
これはもう、お客様だの何だの言ってられない。美人は歓迎するが、変人は御免だ。
寝不足だけが原因では無い頭痛にこめかみを揉み、今度こそお引き取り願おうと無理矢理作った満面の笑みを貼り付けて、右手で出入り口を差す。意味は「帰れ」だ。
「すいませんが、お引き取りを…」
「もう、良い」
溜め息と共に吐き出された面倒そうな、諦めたような声。よし撃退完了、と思ったのも束の間。
びしゃん!
顔面に感じた衝撃と目に染みる液体の感触。うおあ、という何とも情けない声を上げて慌てて顔を袖で拭う。
何だ、一体何が起きた?!
「くそっ!お前何し……て……!!」
口を開けた瞬間、今度は顔面に砂をぶつけられたような衝撃。と同時に、猛烈な塩辛さが舌を刺激する。何事かと薄く目を開けたら、猛烈に目が痛んで状況把握を断念する。何だこれは。塩か。そうだ、塩だ。じゃあこの液体はまさか。