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エンドレスサマー
第5章 出会い
私は数学の研究者を目指して東京の私立大学に入学した。大学を卒業後、同じ大学の大学院に進んだ。ある教授の研究室に入り、その教授の娘と付き合うようになった。
苦労を知らない教授の娘は、とても傲慢で自分以外の誰も信じない女だった。
例えばレストランに入る。教授の娘は、私の希望など訊ねることなく、自分の好きなものだけ勝手に注文する。そして食事中は自分の好きな話題だけを一方的に話して、食べ終わるといつも自分の物差しでそのレストランの味を評価していた。
そういう女はベッドの中でもつまらなかった。もっともベッドの中の作業は二人で営むものだから、教授の娘にとっても私はつまらない男だったということになる。
教授の娘と別れると、あからさまに教授の私に対する態度が変わった。覚悟はしていたが、私の周りの学生たちが動揺するくらいに私は教授から嫌われ疎まれた。
そして地方の国立大学から私より二つ上の娘婿候補を呼ぶと、私は用済みになった。そして生まれ育った県の教員採用試験に合格するまで、私は都内の医学系予備校で数学を教え何とか食いつないだ。
田舎の中学で私は数学を教え始めた。教えることには慣れているつもりでいたが、田舎の中学は全く勝手が違った。生徒たちや保護者との人間関係。それは私にとって鬱陶しく実に面倒なものであった。そしてその煩わしさをやり過ごすことができるようになった時に、私は妻と出会った。
妻は中学三年。私は同じ中学の二年三組の担任をしていた。
妻のクラスに週に四回向かい、私は数学を指導した。妻の印象……全くない。私を驚かせる成績を収める生徒ではなかったし、かと言って平均点以下の生徒でもなかった。出席を取る時に高田美香と呼ぶ生徒に過ぎなかった。
ただ一つ、美香を認めることがあった。器械体操部の美香のプロポーションは他の部員よりも数段よかった。膨らみの少ない胸を押さえつけるようにしているレオタード。胸からお腹、そしてお尻に続くくびれの線。美しかった。私はレオタード姿の美香を時折体育館の隅からそっと盗み見していた。
卓球部の副部長をしているせいで、私が体育館の隅に立っていることを訝る人間は一人もいない。私は目の前で繰り広げられる卓球のラリーよりも、美香の天使のようなレオタード姿に心を奪われていた。
苦労を知らない教授の娘は、とても傲慢で自分以外の誰も信じない女だった。
例えばレストランに入る。教授の娘は、私の希望など訊ねることなく、自分の好きなものだけ勝手に注文する。そして食事中は自分の好きな話題だけを一方的に話して、食べ終わるといつも自分の物差しでそのレストランの味を評価していた。
そういう女はベッドの中でもつまらなかった。もっともベッドの中の作業は二人で営むものだから、教授の娘にとっても私はつまらない男だったということになる。
教授の娘と別れると、あからさまに教授の私に対する態度が変わった。覚悟はしていたが、私の周りの学生たちが動揺するくらいに私は教授から嫌われ疎まれた。
そして地方の国立大学から私より二つ上の娘婿候補を呼ぶと、私は用済みになった。そして生まれ育った県の教員採用試験に合格するまで、私は都内の医学系予備校で数学を教え何とか食いつないだ。
田舎の中学で私は数学を教え始めた。教えることには慣れているつもりでいたが、田舎の中学は全く勝手が違った。生徒たちや保護者との人間関係。それは私にとって鬱陶しく実に面倒なものであった。そしてその煩わしさをやり過ごすことができるようになった時に、私は妻と出会った。
妻は中学三年。私は同じ中学の二年三組の担任をしていた。
妻のクラスに週に四回向かい、私は数学を指導した。妻の印象……全くない。私を驚かせる成績を収める生徒ではなかったし、かと言って平均点以下の生徒でもなかった。出席を取る時に高田美香と呼ぶ生徒に過ぎなかった。
ただ一つ、美香を認めることがあった。器械体操部の美香のプロポーションは他の部員よりも数段よかった。膨らみの少ない胸を押さえつけるようにしているレオタード。胸からお腹、そしてお尻に続くくびれの線。美しかった。私はレオタード姿の美香を時折体育館の隅からそっと盗み見していた。
卓球部の副部長をしているせいで、私が体育館の隅に立っていることを訝る人間は一人もいない。私は目の前で繰り広げられる卓球のラリーよりも、美香の天使のようなレオタード姿に心を奪われていた。