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エンドレスサマー
第5章 出会い
 九時を過ぎても教室には誰も来ない。計算問題を解いていた美香が顔を上げ、教室の時計を確認すると「誰も来ないね」と私に向かって言った。美香が私に話しかけたのはそれが初めてだった。そして美香はこう続けた「先生、人気ないんだね」。「ははは」私は大笑いした。する美香は「人気がないのがそんなに嬉しいの?」とまた続けた。「ははは。高田、お前僕のこと心配してくれてんのか?」と美香に向かって言うと「心配なんかしてません」と返された。私はまた笑った。
 何でもその日は地元の大手学習塾が主催する模擬テストの日だったみたいで、多くの受験生たちはテストが実施されている会場に向かっていると、美香が教えてくれた。
「高田、お前はどうしてテストでなくてここに来たんだ?」
「ここに来ると悪いわけ?」
「そんなことはないさ。大歓迎だ」
「じゃあいいじゃん」
「そうだな。お前に感謝しないといけないな」
「別に感謝とかいいです」
「別にか……」
「……」
自分のクラスの生徒でもそんなやり取りをしたことはなかった。教室に自分と美香しかいないのは寂しかったが、今まで味わったことがないような教師として新鮮な気持ちを味わった。  
 その日、美香は私にどんどん質問をぶつけてきた。美香とは特に接点が多くあったわけではないが、この日をきっかけに私と美香はの距離が縮まってきたように思う。もちろんそれは教師と生徒の距離であって、決して男と女の距離ではない。
 教師と生徒の距離がなくなると、途端に男女の距離が生まれる。
 教え子と結ばれた方はこの世にたくさんいると思う。教師と生徒がいつ男と女になっていくのか? レアなケースは教師の生徒に対しての一目ぼれ(まったくないというわけではない……と思う)ただ多くの場合二人の間で、世間話、身の上話、ちょっとした悩み事、こういう話題が学習の領域を侵食してくる。知らず知らずのうちに勉強はどこかに消える。
 そうすると教師は男(私の場合)に徐々に変身していき、生徒(私の妻美香の場合)は女に変身する。男と女になると互いを異性として認識する(もちろん性的な部分も含む。いや性的な部分がすべてと言っても過言ではない)。好きかもしれないというあいまいな感情が発生すると、自分の立場や年齢を忘れてしまう(正確に言う、忘れようとする)。
 
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