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エンドレスサマー
第9章 身体測定
 Aに背を向けていた妻がある異変に気が付いた。背中やお尻に何かを感じる。Aの手が背中やお尻を触っているというのではない。
 触られているような、触られていないような、時に妙な温かさを背中やお尻に感じる。その正体を探りたいが、自分の後ろを見ることは簡単なことではない。勝手に後ろを振り返りでもしたら、Aに怒られる。すでに妻はAから上手くコントロールされていた。
コントロール、それはAに怒られるようなことをしてはいけない。Aの言うことは何でもきかなければならない。そうでなければ……そうでなければ自分は家には帰ることができなくなる。守らなければいけない、守らなければ。
 異変の正体が、徐々にわかってきた。それは音。Aから漏れてくる音であった。「ふんふん」最初はそう聞こえた。何だろう「ふんふん」て? その「ふんふん」が「くんくん」にも聞こえたりもした。「くんくん」……わかった。ようやく妻が異変の正体を突き止めた。Aが自分の背中やお尻の匂いを顔を近づけて嗅いでいたのだ。
 今度は前を向くようにAは妻に言った。妻は従った。するといきなりAは妻の乳首を舐めた。ぺろぺろと何度も舐める。やがてAの舌が妻の割れ目に向かった。割れ目に沿ってAは何度も舌を動かした。我慢できずに妻は嗚咽を漏らした。妻の心の叫びなどAには何の意味がない。
「後ろを向け」Aは妻にそう命令した。本性を現わしたロリコンの言葉から優しさが消える。もちろん妻は従った。そうしなければ家に帰れないからだ。
 妻は背中とお尻にまた違和感を覚えた。だが後ろの様子が少し変だ。声も「ふんふん」ではなく「ハァハァ」とか「ううう」と聞こえてくる。自分の後ろでAは何をしているのだろうか? 背中もお尻も舐められた。舐めながらAは奇妙な声を出し続けている。その声がだんだん大きくなっていった。「ううううう! 行く!」妻はそう聞こえたと言っている。そしてその瞬間、背中とお尻に水鉄砲のようものから発射された何かを感じた。ただ、それは水ではなく温かい物だった。その温かいものが数回背中とお尻に当たった。温かい物が地球の中心めがけて滴り落ちていく。気持ち悪い感触だった。温かい物も自分の体を弄んでいる。弄びながら下に落ちていく。温かい物とAは同じだ。妻はそう思った。
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