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エンドレスサマー
第10章 初体験
 挿入の準備はできた。ところが実際の挿入はそれはそれは大変な作業だった。
 例えていうなら、悪天候の中、ピッケルとアイゼンを頼りにして氷壁にしがみついて見えない頂上を目指すくらいに困難だった。
「痛い!」
「まだ挿れてないんだけど」
「だって痛いんだもん」
「わかったよ」
 鬼頭を美香の膣口に当てただけなのだが。
「だから痛いって言ってるじゃん、もう」
「はいはい、わかりました」
 膣口に当てた鬼頭を動かしただけなのだが。
 こんなやり取りが数分、いや数十分、もっとかも知れない。
 時間にゆとりのある旅行をしているのではない。わざわざ美香と交わるために隣の県までやって来ているのだ。秘密を守るための行動。それは許されない行いでもある。
「先生下手なんじゃない?」
「どういう意味?」
「だって少ないじゃん」
「何が?」
「これ」
「これって?」
「これって……エッチのこと」
「エッチ?」
 美香は私が寝た女の名前を知っている。二人の女の名前と二人の女の源氏名。プロポーズした時、私は美香から私の経験人数を問い詰められた。嘘を言っても仕方がないので、私は正確に美香に伝えた。
「少ないじゃん」
「……」
 私は短気ではないし、何か嫌なことを言われてかっとするタイプの男ではない。ただ、そのときだけは自分の中の小さな怒りを抑えることができなかった。
「痛い!痛い!先生のばか!」
「我慢しろ。入ったぞ」
 挿入しやすいようにローションは用意しておいた。それをペニスに被せたゴムだけでなく美香の女穴の周りもたっぷり付けている。私は何とか美香の中に鬼頭だけを挿れた。
「痛い!先生のばか、先生のばか」
 美香は顔を歪めてそう言った。両腕はW字の形になって両手で枕を鷲掴みにしておま×この痛みをこらえている。
「……」
 本来ならここから徐々に美香の奥にペニスは進んでいくはずなのだが、約束は鬼頭だけ。それに奥に行こうにも美香の膣がそれを許してくれない。鬼頭は収めたが、その先の秘宮への侵入は一切認めない、という美香の膣の強い意志が私のペニスに伝わる。
「痛い……痛い」
 美香の声が小さくなっていく。私はペニスの先を挿し込んだまま動かない。というか動けない。
「小さなおま×こだ」
「ガキだと言いたいの? 先生なんて大嫌い」
「違うよ。本当に処女だったんだな」
 
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