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エンドレスサマー
第11章 レオタード
「でも本当のエースは美香なんですよ」
「えっ?」
 私の心臓に角氷が一かけら投げられた。瞬間私の体は固まった。
「体がね」
「体が……、体がどうしたんですか?」
 長岡のその先の言葉が気になった。
「大きすぎるんです」
「大きすぎる? どういう意味ですか?」
「先生、大柄な体操の選手を見たことありますか?」
「……」
「でしょ? 体の大きい子は不利なんですよ」
「……技とか、そういう部分で、ということでしょうか?」
「そう思ってもらっていいと思うわ。美香は体操選手としては体が大きすぎるんですよ。体の線はエロいくらいぴか一なんだけどね。あらっ、こんなこと教師が言っちゃいけないわね。ごめんなさいね」
「いえ」
 そう言えば確かに美香は他の部員よりも背が高い。
「本当に濃い緑はだめだわ。誰にもわからないように薄くしちゃおうかしら」
「……」
  
 そんなやり取りを私は思い出した。 

 中学時代のレオタードを美香が身に付ける。このまま競技に参加できるくらいにサイズはぴったりだった。もっとも一年くらいで十五の女の体形が大きく変わることなんかない。
 ノースリーブタイプのレオタード。美香も濃い緑色は好きではなかったと言っている。というか緑色のレオタードを好きな部員は一人もいなかったそうだ。
 美香が軽い屈伸運動を始めた。それから上半身を反らしたりして一通りの準備運動を終えると、いきなり逆立ちをした。こんなに綺麗な逆立ちを見るのは初めてだった(もっとも逆立ちを見る機会なんてそうあるものではないが)。数秒静止した後に逆立ちから元に戻る。
「先生、どうだった?」
「凄いな。僕は逆立ちなんてできないよ」
「逆立ちできないの?」
「ああ、間違いなくできない。そもそも逆立ちをした記憶がない」
「笑える。ふふふ。先生、ひょっとして運動音痴?」
「成績は小学生から変わらずに三。二になることもなければ四になることもなかった」
「先生でもできないことがあるんだね」
「当り前さ。数学だけはできたかもしれないが、教師なんてそんなもんさ」
「そうなんだ?」
「ああ」
「何か嬉しい」
「どうして?」
「だって先生に勝てるものがあったんだもん」
「よかったな、僕に勝てて」
「ふふふ」
「何笑ってんだよ」
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