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エンドレスサマー
第12章 エンドレスサマー
「美香、君はだんだん厭らしくなっていくな。まるで娼婦だ」
「失礼ね。私は娼婦なんかじゃありません。先生、訂正して謝ってよ」
「僕だけの娼婦だ。それならいいだろ?」
「だめ」
「どうして?」
「どうしても」
「気持ちいいよ」
 パジャマのボタンをすべて外して、妻は私の乳首を弄っている。時折卑猥な目を私に寄こしたりする。その目にはもう躊躇いなどない。気持ちいいんでしょ。もっと気持ちよくしてあげるから。そんな妻の意志を感じる。
 当たり前だが、妻は十五のときとは全く違う。エッチな言葉も平気で使うし、悦楽の悦びのためなら何でもする。性の探求心は日々強くなった。もちろんそれは今も現在進行形で後退することはない。
 人差し指と親指で私の乳首を摘まみながら、妻は私の表情を窺う。
「目を瞑ってよ先生。先生の気持ちいい顔が見たいの」
「……」
 私は妻の命令に従う。
「お利口さん」
「痛っ」
 言葉とは裏腹に妻は、私の乳首を摘まんでいる指に力を入れた。
「何? 痛かったの?」
「いや」
「気持ちいいんでしょ?」
「ああ」
「だったら気持ちいい声を出さなきゃ」
「……」
 夫婦の営みの時だけ、妻はサディスティックになる。良妻賢母(今では死語かもしれないが)も布団の中に入ると性欲に支配される。その欲に抗おうとはしない。その妻の姿を私だけが知っている。
 妻の舌先で私の乳首が突かれたり弾かれたりする。ここを弄られて感じない男はいない(多分)。そして私の乳首は妻の口に含まれた。妻の口の中でも妻の舌が容赦なく私の乳首を舐め続けた。舌の表だけではなく舌の裏も使って。私の快楽が途切れることなく妻の舌は動き続けた。
 妻の背中に手をかけて抱きしめたいところだが、妻はそれを許してくれない。遠い昔(妻が高一で私はそのとき三十半ばの教師だった)私が妻にしたことを妻は忘れていない。私は妻の自由を奪って十五だった妻の体を思う存分愉しんだ。
 今私は妻から自由を奪われて、妻から体を弄られている。妻の右手が私のペニスを掴んで硬さを確かめながら(私にはそう感じるのだ)根元から鬼頭までゆっくり動いている。
 私は何もしない。妻がしたいようにさせる。私は妻の性技を受ける人形だ。
 
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