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エンドレスサマー
第12章 エンドレスサマー
「なぁ美香」
「何?」
「あと五年、いや三年かな、僕は会社を辞める」
「どうして?」
 いった後の気怠さの中に、私と妻がいる。手を組んで私はそれを枕にする。妻は私の胸の中に顔を埋める。
「僕の会社も道内だけでなく道外でも有名になった。観光客がわざわざうちのスーパーにやってくる。最近ではあのUでうちの会社のコラボTシャツまで売られている」
「いいことばかりじゃない。それに先生は取締役になるんでしょ」
「実はそれが不味いんだ。うちの会社は五年後の上場を目指している」
「上場って何?」
「難しい話になる。簡単に言えば株式公開。つまり一般の人たちがうちの会社の株を買えることになる」
「いくらで売るの?」
「まだわからない。多分一株四五千円くらいかな」
「それってすごいことなの?」
「僕は今会社の株を二十万株持っている」
「二十万!」
「声が大きいよ。美緒が起きたらどうするんだ」
「御免なさい。でも先生、あのときの声美緒に聞かれてないかな?」
「あのとき? 大丈夫、もう美緒は寝ている」
「ドアのそばにいたりして」
「冗談はやめろ」
「ごめんなさい。でもどうしてもわからないわ。どうして会社を辞めるの?」
「取締役は株主に信任されないといけない」
「ひょっとして信任されない?」
「それはわからない。ただ」
「ただ……」
「僕のことが調べられる。おそらくマスコミにも」
「……」
 妻が無言になる。なぜ私が会社を辞めなければならないのか? 妻は理解したようだ。
「会社にとってスキャンダルは致命傷だ。もしスキャンダルの芽があれば摘んでおかなければならない。僕のせいで会社に迷惑はかけられない」
「……ごめんなさい」
「謝るなよ。悪いのは美香じゃなくて僕なんだ。すべては僕が悪い。美香に悪いところは一つもない。美香は僕と結婚してくれた。これは運命だと思っている。だったら会社を辞めることだって運命だ。美香、僕は幸せだ。ありがとう」
「先生……」
 泣くのを堪えて妻はそう言った。
「でもここからが大事なんだ」
「どういうこと?」
「会社を辞めた後、僕にはやりたいことがある」
「何? 先生のやりたいことって?」
「聞きたいか?」
「もちろんよ」
「じゃあ美香に教えてあげる。僕はサーフィンをしたいんだ」
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