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エンドレスサマー
第3章 いたずら
「私の膨らみのない胸とか小さな乳首は、今でもあの時のロリコン野郎は覚えているのかな?」
「……」
「ねぇ、先生、どう思う?」
「わからないよ」
 おそらく、私の妻にいたずらしたロリコンのくずは、妻のすべてを記憶しているだろう。頭の中に自分だけのアルバムを作って、好きな時にそのアルバムを繰る。そして時折獲物(獲物は妻だけではなかったかもしれない)をそっと引き出して、自分の手で自分を慰める。獲物の体の記憶は、ロリコンのお宝のようになっているのかもしれない(考えたくはないが)。
「よかった」
「よかったって、どういうことだ」
 声が大きくなった。
「先生のここ、ふにゃふにゃしている」
「……」
 妻は私のペニスをずっと握っていたのだ。
「私の告白で硬くなっていたら、嫌だな、と思って」
「硬くなるわけないだろ」
「だよね」
 妻がいたずらされた話を聞いて、それをおかずにする夫などいない。私は変態ではない。
「なぁ、美香」
「何?」
「僕のことをどう思う?」
「どう思う?」
「ああ」
「それどういう意味?」
「そのままさ、僕のことを美香はどう思っているのか知りたい」
「感謝しているわ。私と結婚してくれて、私と美緒のために一生懸命に働いてくれて。この前なんか、ママ友から羨ましがられたわ。五十で会社の役員になんてそうそうなれるものじゃないんでしょ。今は何不自由なく暮らせているんだから、先生には感謝しかないわ」
「違うんだ、そういうことじゃないんだ」
「どういうこと?」
「初めてキスした日を覚えているか?」
「もちろん、クリスマスイブ」
「その時美香はいくつだ?」
「中三……」
「初めてエッチした日は?」
「高一の……五月の連休」
「美香とキスをした僕はその時三十半ばのオッサンだよ。美香とエッチした時僕は」
「止めてよ。先生はロリコン野郎と全然違うわ」
 妻は、私が何を言いたいのかわかったようだ。
「本当にそう思うか?」
「本当にそう思うわ。先生はロリコン野郎とは違う。私が言うんだから信じて」
「……」
「ごめんなさい。私、先生に変なことを言ってしまったわ。言わなきゃよかった。本当にごめんなさい」
「いや、美香が辛かった時の話が聞けて、美香の苦痛を僕も背負おうことができる。話を聞くくらいしかできない自分が惨めだ。そして……悔しい」
「先生、ありがとう」
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