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言葉に出来ない
第1章 突然の出会いは進展もなし〜亮平
その翌日は、教授のお供で学会に行くことになっていて、
病院へは行けなかった。

お供と言っても近場の名古屋で、
自分は翌日の外来の診察があるから日帰りで気楽なもんだった。


帰りの新幹線に乗る前に、
駅ナカの喫茶店で、黄色いヒヨコの形をした小さいプリン入りのケーキを食べた。


食べながら、
彼女なら美味しそうな顔でニコニコしながら食べるだろうなと思ったら、
顔がニヤけてしまった。


やばいやばい。

オッサンが独りでぴよりんを食べてるのも変なのに、
ニヤニヤしてるとか、
本当にヤバい。


そう思って、コーヒーで流し込むように食べてしまった。


その後、隣のキオスクで、
ナースステーション用に大きな箱に入った日持ちする菓子と、
自分用に日持ちはしないけどイチオシの和菓子を買って、
新幹線に飛び乗った。

和菓子は、独りで食べ切れる気はしなかったけど、
食事代わりに食べればなんとかなると思った。

彼女と一緒に食べれれば良いけど、
上手く渡せるかも判らないし、
一緒にとかはハードルが高過ぎると諦め掛けていた。



翌日、軽くランニングしてシャワーを浴びてから病院に行った。

白衣に着替えてから、診察室に行く前にナースステーションに立ち寄って、
婦長に、
「これ、みんなでどうぞ」と言って、
名古屋銘菓の菓子の箱を渡した。


さり気なく、病棟の部屋の患者のリストをチェックすると、
彼女の祖母は、ナースステーション真ん前の個室に移っていた。


よし!
午後の病棟の診察で、
彼女に会えるかな?


そう思ったら、
ウキウキした気持ちになって、
ニヤけた顔を無理やり引き締めながら、
外来の病棟に向かって、
午前中の仕事に没頭した。
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