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言葉に出来ない
第1章 突然の出会いは進展もなし〜亮平
その翌日は朝からオペが入っていて、
結構長丁場になってしまった。


4時近くに終わって、食堂では中途半端な時間であまり食べれるモノが残っていなくて、
売店で売ってる菓子パンをコーヒーで流し込んでみた。


その後、入院病棟の回診をして、
最後に彼女たちの個室に入った。


「まだ、個室なんですね?
空きが出ないのかな?」と言うと、

「狭いのが苦手なので、
このままでお願いしますとお伝えしたんです。
あの…。
ここのお部屋に入らなくちゃいけないような患者様、いらっしゃるなら、移動しますけど…」と、彼女が答えた。


「いや。
単純に高い部屋だし、
もう装置も外れてるし、
安定してるかなって思ったから」

「見せていただきましたが、
大人数のお部屋だと、
狭くて長時間、居られない感じでしたので、
こちらの方が有難いんです」


そう言う彼女は、
ノートパソコンや資料を持ち込んでいるから、
仕事をしながら一日中、ここに付き添いしてるんだろうと思った。



「土日もここに来る予定?」

「はい。
先生は?」

「俺は明日は午前中は外来がある。
日曜は休み。
明日の午後も、顔、出してみるよ。
お大事に!」

「あの…。
今日はお疲れみたいですね?
運転、お気をつけてくださいね?」と言われた。


「医者なのに、
患者さんの家族に疲れてるとか言われてちゃ、ダメだよね?」と戯けてみせてから、部屋を出た。



明日、外来だけの日だけど、
自然な感じにこっちの回診入れて…。

日曜は会えなくて。

そんでもって、
月曜の検査の後、
退院の話になるから、
あと、2回しか会えないのか。



絶望的な気持ちで帰宅して、
土曜日は看護師たちに変な顔をされつつ、
普段はしてない土曜日の回診して、
日曜は、朝と夜、彼女の自宅周辺をランニングしてみたけど偶然会えることもなく、
月曜日を迎えてしまった。
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