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言葉に出来ない
第3章 愛の中へ〜亮平
「ここ、とっておきの場所なんだ」と、
逗子の小高い山の上の公園に連れて行く。
隣の山の公園と違って、
特別な住宅街の中のこちらは、
人が殆ど居ない。
「わー!
なんて静かで素敵なんでしょう!」と、
キラキラした瞳で海を観る美由ちゃんから、
目が離せなかった。
美由ちゃんの方が何倍も素敵だと思ったけど、
そんなキザな台詞、とても言えないで、
そっと横顔を見つめてしまう。
「もっと上まで行ってみる?」と言うと頷いてくれるので、
そっと手を繋いでみる。
低めだけど、ヒールがある靴だったから、
「脚、大丈夫?
痛くない?」と訊くと、
「亮平さんも素敵な革靴なのに、
土がついちゃいますね?」と笑う。
途中で住民らしい老夫婦とすれ違う時にも、
軽やかな声で、
「ご機嫌よう」と言う美由ちゃんはとても自然で可愛かった。
先端の方まで登ると、
海が遠くまで観えて、
海鳥の声も聴こえる。
「返事、訊いても良いかな?」
「えっ?」
「美由さん、
俺と付き合ってください」
「…」
「ダメ?」
「私なんかで良いんですか?」
「なんで?
可愛くて、控えめで、優しくて、
一緒に居たいなって思ってるんだけど」
「でも、お互いのこと、
殆ど何も知らないのに…」
「少しずつ、知り合えば良いんじゃないかな?
慌てることもないでしょ?
いや。
慌てた方が良いのかな。
誰かに盗られるといけないからな」
「私なんて、
引き篭もりで、他の人と会う機会もないですよ?」
「いや。
翻訳とか通訳で、
他のヤツと会うかもしれないしさ」と言うと、
下を向いてしまった。
美由ちゃんは、
そっと右の薬指に嵌めている銀色の指輪を撫でた。
「えっ?
ひょっとして、
誰か、付き合ってるヤツ、居るの?」と、
思わず肩を軽く掴んでしまうと、
少し怯えた顔で俺を見上げた。
逗子の小高い山の上の公園に連れて行く。
隣の山の公園と違って、
特別な住宅街の中のこちらは、
人が殆ど居ない。
「わー!
なんて静かで素敵なんでしょう!」と、
キラキラした瞳で海を観る美由ちゃんから、
目が離せなかった。
美由ちゃんの方が何倍も素敵だと思ったけど、
そんなキザな台詞、とても言えないで、
そっと横顔を見つめてしまう。
「もっと上まで行ってみる?」と言うと頷いてくれるので、
そっと手を繋いでみる。
低めだけど、ヒールがある靴だったから、
「脚、大丈夫?
痛くない?」と訊くと、
「亮平さんも素敵な革靴なのに、
土がついちゃいますね?」と笑う。
途中で住民らしい老夫婦とすれ違う時にも、
軽やかな声で、
「ご機嫌よう」と言う美由ちゃんはとても自然で可愛かった。
先端の方まで登ると、
海が遠くまで観えて、
海鳥の声も聴こえる。
「返事、訊いても良いかな?」
「えっ?」
「美由さん、
俺と付き合ってください」
「…」
「ダメ?」
「私なんかで良いんですか?」
「なんで?
可愛くて、控えめで、優しくて、
一緒に居たいなって思ってるんだけど」
「でも、お互いのこと、
殆ど何も知らないのに…」
「少しずつ、知り合えば良いんじゃないかな?
慌てることもないでしょ?
いや。
慌てた方が良いのかな。
誰かに盗られるといけないからな」
「私なんて、
引き篭もりで、他の人と会う機会もないですよ?」
「いや。
翻訳とか通訳で、
他のヤツと会うかもしれないしさ」と言うと、
下を向いてしまった。
美由ちゃんは、
そっと右の薬指に嵌めている銀色の指輪を撫でた。
「えっ?
ひょっとして、
誰か、付き合ってるヤツ、居るの?」と、
思わず肩を軽く掴んでしまうと、
少し怯えた顔で俺を見上げた。