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言葉に出来ない
第3章 愛の中へ〜亮平
綺麗な小鉢や漆器に少しずつ盛られた料理は、
どれも上品な薄味で、
京都に居たコドモの頃だったら、
「味がしない」と言って醤油を掛けて怒られるくらいのモノだったけど、
今なら一つ一つが丁寧に出汁を効かせて、
切り方もそれぞれに最適なカタチになっているのが良く判った。
「殿方には薄味じゃないかしら?
荒井さん、お醤油かお塩、持ってきてくださる?」と、
お祖母様が言うので、
慌てて、
「大丈夫です。
丁度良い味付けで美味しいです」と言った。
「わたくしはお料理は致しませんの。
殆ど、美由さんが作ってるのよ?」と言われて、
ちょっと驚いてしまう。
多分、顔に出てしまっていたようで、
「あの…おかしいですか?」と美由ちゃんが言う。
「いやいや。
なんか、おばあちゃんが作る料理みたいで、
美味しいなって…。
あ、褒めてるんだよ?
実家も京都人の祖母が作ってたのがこんな感じだったし、
中学から大学卒業するまで住んでた母方の実家も、
祖母が作るの、こういう野菜たっぷりで、
なんていうか、地味で素朴な味だったから、
なんか、懐かしくて…」と言うと、
「京都がご実家なのね?
それで、中学からはこちらの方?
全然、西のイントネーション、ないものね?」とお祖母様が言うので、
美由ちゃんに説明したのと同じように、
実家のこと、親の仕事、兄のこと、
そして、美由ちゃんの家からもそんなに遠くない母方の祖父母の話をした。
「京大の高木教授のご子息なのね?
まあまあ。
それは大変なお家だこと!
それで、こちらにあるお母様のご実家は?」と訊かれて、
二駅隣に祖父母が住んでいることと、
祖父も昔は俺が卒業した大学で教えていたことなんかを話した。
「失礼ですけど、名字は?」と訊かれて、
「加藤です」と答えると、
「あら!
では、お祖母様って、
加藤百合子様?」と、いきなりフルネームで言われて、
思わず咳き込んでしまって、慌ててお水を出して貰う羽目になった。
「横浜の女学校でご一緒でしたわ?
今もね。
時々、お互いの家を訪問したり、
お茶会でお会いするもの。
美由さんもお会いしたこと、あるんじゃないかしら?」と言われて、
更に驚いてしまった。
どれも上品な薄味で、
京都に居たコドモの頃だったら、
「味がしない」と言って醤油を掛けて怒られるくらいのモノだったけど、
今なら一つ一つが丁寧に出汁を効かせて、
切り方もそれぞれに最適なカタチになっているのが良く判った。
「殿方には薄味じゃないかしら?
荒井さん、お醤油かお塩、持ってきてくださる?」と、
お祖母様が言うので、
慌てて、
「大丈夫です。
丁度良い味付けで美味しいです」と言った。
「わたくしはお料理は致しませんの。
殆ど、美由さんが作ってるのよ?」と言われて、
ちょっと驚いてしまう。
多分、顔に出てしまっていたようで、
「あの…おかしいですか?」と美由ちゃんが言う。
「いやいや。
なんか、おばあちゃんが作る料理みたいで、
美味しいなって…。
あ、褒めてるんだよ?
実家も京都人の祖母が作ってたのがこんな感じだったし、
中学から大学卒業するまで住んでた母方の実家も、
祖母が作るの、こういう野菜たっぷりで、
なんていうか、地味で素朴な味だったから、
なんか、懐かしくて…」と言うと、
「京都がご実家なのね?
それで、中学からはこちらの方?
全然、西のイントネーション、ないものね?」とお祖母様が言うので、
美由ちゃんに説明したのと同じように、
実家のこと、親の仕事、兄のこと、
そして、美由ちゃんの家からもそんなに遠くない母方の祖父母の話をした。
「京大の高木教授のご子息なのね?
まあまあ。
それは大変なお家だこと!
それで、こちらにあるお母様のご実家は?」と訊かれて、
二駅隣に祖父母が住んでいることと、
祖父も昔は俺が卒業した大学で教えていたことなんかを話した。
「失礼ですけど、名字は?」と訊かれて、
「加藤です」と答えると、
「あら!
では、お祖母様って、
加藤百合子様?」と、いきなりフルネームで言われて、
思わず咳き込んでしまって、慌ててお水を出して貰う羽目になった。
「横浜の女学校でご一緒でしたわ?
今もね。
時々、お互いの家を訪問したり、
お茶会でお会いするもの。
美由さんもお会いしたこと、あるんじゃないかしら?」と言われて、
更に驚いてしまった。