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唐草の微睡み
第3章 長い一日
男のモノの先端が、花凛のところにねじ込まれようとしたその時、
男の身体は空中浮かび、そのまま男は遥か向こうに投げ飛ばされた。

「なにっ?!」

花凛は事態が飲み込めない。

「大丈夫か?これでも被ってろ。」

ふわっと柔らかい絹の衣が頭からすっぽり掛けられる。

(龍星?龍星なの?)
頭から衣を掛けられて、周りの様子が全く分からない。
(でも、龍星の声と龍星の匂い…。助けに来てくれたの?まさか??)


「貴様っ!」

ドカッ!バキッ!

「このやろう!」

「くそっ!逃げろ!こいつ皇帝だぞっ!」

「ウソだろう!何でここに?」

「やっめろ!殺さないでくれっ!うわぁー!」

男たちの悲鳴が聞こえなくなり、上に被せられていた衣が取られた。

「りゅ、龍星…。」
そこには剣を携えた龍星の姿があった。
花凛の両目から、涙が溢れる。

「花凛!大丈夫…だったか?」

持っていた剣を投げ捨てて花凛の側に龍星は跪くと、花凛の無事を確かめるように、大きな手を頬に添えて顔を近づけてきた。

「だ、大丈夫…。りゅ、龍星。ありがとう。」

その声を聞いて龍星は、ハァ…と大きなため息をつき、
「良かった…。本当に良かった。今、自由にしてやるから。じっとしてろ。」


短刀で、花凛を縛る縄を切ってくれた。


ふと気付くと、花凛と龍星の周りには何人もの男の死体が転がっていた。

「龍星…。」

「ん?」

「か…身体の震えが…止まらないっ…」

花凛の目から涙がとめどなく流れる。

 
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