この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
唐草の微睡み
第1章 はじまりの日
朝の光を浴びながら、1日のうちで中庭の花々が最も美しく輝くその時が、花凛の一番好きな時間だった。
桃の木の根元に腰掛け、書物に目を落としていると、降り注ぐ光が急に遮られ目の前が暗くなった。
「花凛。何読んでるんだ??」
低音の癖のある声が頭の上からして、見上げた花凛の顔を、笑顔の龍星が覗きこんできた。
「えっ?!りゅ、龍星様?!!」
驚いて声がうわずってしまい、思わず花凛は赤面する。
龍星は、水色の涼しげな着物に床まで届きそうな長い羽織を着て、長い髪を無造作に後ろに束ねている。
龍星をこんな近くで見るのは久しぶりだ。
驚きのあまり、口をあんぐりと開けている花凛に、
「花凛。口閉じろよ。」
と言って、龍星はケラケラと笑い出す。
「龍星様!ひどいですっ!!」
花凛はぷうっと膨れっ面をした。
全然変わってない。
昔と同じ龍星に、花凛はなんだか安心した。
ほっとしたのも束の間。
龍星は花凛の膝の上に広げられた書物を拾い上げて、
「はっはっはっ!お前、女のくせにまた兵書なんか読んでるのか?」
龍星の大きな声が庭に響く。
桃の木の根元に腰掛け、書物に目を落としていると、降り注ぐ光が急に遮られ目の前が暗くなった。
「花凛。何読んでるんだ??」
低音の癖のある声が頭の上からして、見上げた花凛の顔を、笑顔の龍星が覗きこんできた。
「えっ?!りゅ、龍星様?!!」
驚いて声がうわずってしまい、思わず花凛は赤面する。
龍星は、水色の涼しげな着物に床まで届きそうな長い羽織を着て、長い髪を無造作に後ろに束ねている。
龍星をこんな近くで見るのは久しぶりだ。
驚きのあまり、口をあんぐりと開けている花凛に、
「花凛。口閉じろよ。」
と言って、龍星はケラケラと笑い出す。
「龍星様!ひどいですっ!!」
花凛はぷうっと膨れっ面をした。
全然変わってない。
昔と同じ龍星に、花凛はなんだか安心した。
ほっとしたのも束の間。
龍星は花凛の膝の上に広げられた書物を拾い上げて、
「はっはっはっ!お前、女のくせにまた兵書なんか読んでるのか?」
龍星の大きな声が庭に響く。