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唐草の微睡み
第6章 後宮入り
そして…いよいよ後宮に入る日の朝。
花凛は日が上がらないうちから起きて、準備に大忙しだった。
沐浴をして身を清め髪を結い上げたら、美しい衣装に着替える。
香明をはじめ、何人かの女官に手伝ってもらって、全身を美しく着飾る。
淡い黄色の生地に小花模様の刺繍が施されたその衣装は、龍星から今日のためにと届けられたものだ。
「花凛様…お美しいですよ…」
いつもは口うるさい香明も、ため息をもらして花凛に見とれる。
同じ宮廷内にあるというのに、花凛は馬車に乗せられて後宮の前まで移動した。
(ここが後宮かぁ…)
大きな門があり、固く閉ざされている。
ギィーっと門が軋みながら開き、花凛は促されるまま、門の中に入った。
「ようこそおいでなさいました。侍従長の斎真(サイシン)です。以後お見知りおきを…」
痩せ細った枯れ枝のような老人が奥からひょこひょこと現れた。
「花凛と申します。宜しくお願いします。」
花凛は丁寧に頭を下げた。
「そちらにおられるのが香明殿かな?」
斎真は後ろに控える香明に声をかけた。
「はい。香明と申します。花凛様に従って参りました。宜しくお願い致します。」
香明も丁寧に頭を下げる。
「香明殿には申し訳ないが、ここでお引き取りを願いたい。この扉から向こうは後宮。ここから奥のことは私どもにお任せ願いたい。」
「えっ?!」
2人とも驚きを隠せない。
花凛は日が上がらないうちから起きて、準備に大忙しだった。
沐浴をして身を清め髪を結い上げたら、美しい衣装に着替える。
香明をはじめ、何人かの女官に手伝ってもらって、全身を美しく着飾る。
淡い黄色の生地に小花模様の刺繍が施されたその衣装は、龍星から今日のためにと届けられたものだ。
「花凛様…お美しいですよ…」
いつもは口うるさい香明も、ため息をもらして花凛に見とれる。
同じ宮廷内にあるというのに、花凛は馬車に乗せられて後宮の前まで移動した。
(ここが後宮かぁ…)
大きな門があり、固く閉ざされている。
ギィーっと門が軋みながら開き、花凛は促されるまま、門の中に入った。
「ようこそおいでなさいました。侍従長の斎真(サイシン)です。以後お見知りおきを…」
痩せ細った枯れ枝のような老人が奥からひょこひょこと現れた。
「花凛と申します。宜しくお願いします。」
花凛は丁寧に頭を下げた。
「そちらにおられるのが香明殿かな?」
斎真は後ろに控える香明に声をかけた。
「はい。香明と申します。花凛様に従って参りました。宜しくお願い致します。」
香明も丁寧に頭を下げる。
「香明殿には申し訳ないが、ここでお引き取りを願いたい。この扉から向こうは後宮。ここから奥のことは私どもにお任せ願いたい。」
「えっ?!」
2人とも驚きを隠せない。