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唐草の微睡み
第7章 甘い果実
「ひどい…捨てるなんて…。うっうっ…」
斎真が部屋を出るまで泣くまいと堪えていたが、扉が閉まった瞬間、花凛は床に崩れ落ちた。

(なんなの!あの人は!!しきたり?決まり?!そんなの無くなってしまえば良いのに!!!)

どれぐらい泣いていただろうか。
辺りは薄暗くなっていた。

「失礼致します。」
扉の外で若い女性の声がして、はっと我に帰る。

「花凛様。夕食をお持ちしました。」

「…うっうっ…。」

「…花凛様?」

(いつの間に?…今は誰とも会いたくない…)

「…あ、ありがとう…。緊張したからかしら…。食欲が無いの。ごめんなさい…。今日は要らないわ…。」

「…花凛様…?召し上がっていただかないと…。」

「本当にごめんなさい…。疲れてしまって…。体調が悪くなってはいけないから、明日に備えて休ませていただくわ。」

「…かしこまりました…」

(良かった…。入ってこられなくて…。)

花凛は気だるい身体を起こして、寝室に向かった。

そのまま寝台に崩れるように横たわる。

(…疲れた…。たった1日なのに…。こんなに疲れるなんて…。)

そのまま、花凛はうとうとと浅い微睡みに落ちていった。

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