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唐草の微睡み
第8章 妃になるために
「はい。これから、礼儀作法の講義のあと、我が国の歴史についての講義。その後は四書五経の講義、夜は房中術についてでございます。」

花凛は龍星の前で房中術の事を言われて、顔を真っ赤にしてしまう。

「ほぅ。それは大変だな。ところで斉真。」
龍星は斉真に近寄って耳元で誰にも聞こえないよう小さな声で、
「花凛に房中術の講義はしなくて良い。」

龍星はせっかく小さな声で囁いたのに斉真は、
「いいえ!なりません!花凛様に房中術をしっかり学んでいただくのは陛下のためでもあるのです!」

「バ…バカ!!大きい声で言うな!!」

「とにかく花凛には必要ないっ!俺は今の花凛で十分っ…!」
途中まで言いかけて、龍星は顔を真っ赤にしてしまう。

(龍星のバカー!なに言うのよっ!)
花凛も恥ずかしくて、穴があったら入りたい。

しかし、斉真も引き下がらない。
「なぜでございます。花凛様に良いお世継ぎを生んでいただくためにも必要です!」
声がだんだん大きくなる。

「斉真、要らんと言ったら要らん!」
龍星の声もだんだん大きくなる。

「陛下!これは決まりなのですぞっ!」

「斉真!お前は決まりとかしきたりとか、そう言うことしか口にしないのか!」

「陛下!これは、決まりですがしきたりではございません。」

「誰もそんなことを聞いてはおらんわっ!」

「ふっ!ふふふふふっ!」
急に明るい笑い声が部屋に響き、龍星と斉真は声の元に振り向くと、花凛が弾けたように笑っていた。
そのやり取りの、あまりのおかしさに吹き出してしまったのだ。

「花凛!笑うなっ!お前のことだぞっ!」
龍星は耳まで真っ赤になって喚いている。

「花凛様っ!笑い事ではございませんぞっ!」
斉真も花凛に喚く。

「ごめんなさい。だって。斉真がそんな大きな声で話すのを初めて見たし。陛下のそんな真っ赤なお顔初めて見たんですもの。耳まで真っ赤に…ふふふふふっ」

これには龍星も斉真も呆れ顔になって、
「花凛…。お前のことを話しているのだぞ。」

「そうですとも。花凛様。あなた様のことですよ。」

龍星も斉真もこれ以上この件でやりとりするのが急にバカバカしくなってきた。

「龍星様。そこまで仰るなら、房中術の講義は中止いたします。」
と、斉真の方が折れた。


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